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美紅
「…え」
輝一郎
「おい!! 彼女は貰うぞ!!」
美紅
「!?」
楓
「く…!」
輝一郎
「初めて見た時から可愛いなと思ってたんだ。宝箱の鍵も無事に開いたことだし彼女は俺が貰う!!」
美紅
「え…! あの!」
楓
「申し訳ありませんがそれはお断りします。鍵が開いたのはきっと錆び付いて古くなっていたものが偶然、今、開いただけでしょう」
輝一郎
「いや違う! ついさっきも俺は確かめたばかりだった! 壊れる気配はなかった!」
輝一郎
「おい、俺と幸せになろう」
美紅
「…え!?」
突然、明るい笑顔を向けられる。
輝一郎
「あんたのために七つの海のどんな金銀財宝も集めてやる! 行きたいところは何処へでもこの船で連れて行ってやる」
輝一郎
「それから俺はこう見えても料理が得意なんだ、毎日美味しい飯を食べさせてやるぞ」
美紅
「い…いえあのちょっと済みません! 多分違います!」
輝一郎
「大丈夫だ、あの男のことは気にするな。気になるなら今すぐ海に沈めよう」
美紅
「な…!」
美紅
「そんなこと止めて下さい! 鍵が開いたのは本当に偶然なんです!」
輝一郎
「いや、そういう運命だったんだよ。俺とあんたは出逢うべくして出逢ったんだよ」
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輝一郎
「大丈夫だ」
美紅
「…え」
キイチ先輩が屈み込んで、私の顔を優しい眼で覗き込んだ。
輝一郎
「あと一つだ。集められるよ、頑張ろう」
美紅
「……キイチ先輩」
輝一郎
「俺のせいでこんなことになって本当にごめん。……本当は今すぐ全部話せたらいいんだけど」
輝一郎
「……あんまり格好いい理由じゃないからさ」
輝一郎
「俺がぐだぐだ悩んで言葉選んでるうちにもっと痣が広がっちまうと思うから」
輝一郎
「もうちょっとだけ待っててくれ」
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サーリヤ
「……───お前の夢を見ることがあるのだ」
美紅
「え…?」
サーリヤ
「俺が存在しているのは夢の狭間。そこでまた夢などとおかしいと思うだろう?」
サーリヤ
「だが……眼を閉じると確かにお前の顔が浮かぶのだ」
美紅
「……」
サーリヤ
「それだけではない。お前とはミフターフで言い争った記憶しかないというのに」
サーリヤ
「何故か俺は黒猫の姿で、眩しい光の射す庭でお前に甘えている」
美紅
「…!?」
サーリヤ
「……姫よ。ミフターフ最後の姫巫女よ。お前は今もあの眩しい光射す庭で笑っているか?」
美紅
「サ…サーリヤ…」
サーリヤ
「教えてくれ姫巫女よ」
サーリヤ
「俺は何故お前を忘れることが出来ぬ」
サーリヤ
「何故お前は俺の前から消えてもなお、俺を苦しめる」
サーリヤ
「何故お前は……───俺の中から消えない」
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輝一郎
「一体どうしたんだ、一つも集めてないなんて。それじゃマズいんじゃないのか?」
透矢
「……言われるまでもなく重大さは理解しているつもりだ」
輝一郎
「じゃぁ何で?」
透矢
「……こちらにも色々都合というものがあるのだ」
輝一郎
「そうなのか? まぁいいや、俺のは簡単だからちょっと付き合ってくれ。今クッキー焼き上がるから」
透矢
「クッキー?」
輝一郎
「ああ。俺の担当はジンジャークッキー。クリスマスらしいだろ?」
透矢
「……」
輝一郎
「そのクッキーに彼女の顔上手く描けたら飾りやるから。頑張れー」
透矢
「え!!??」
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理人
「やぁ姫。寝込みを襲うなんて情熱的だね」
美紅
「!!??」
理人
「歓迎するよ。でも俺はどっちかっていうと襲われるより襲う方が好きなんだけどね」
美紅
「り…理人先輩!? 何でここに!?」
理人
「それはむしろ俺の台詞だと思うよ。周囲を見てごらん? ここは茨の森のベッドで君は俺の上にいるんだよ」
美紅
「!!??」
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輝一郎
「そこまで」
美紅
「!!??」
理人
「ちぇ、来なくていいのに」
輝一郎
「飾りかと思ったらこの剣結構切れ味良さそうだよな。……西蓮寺、悪ふざけそろそろ終わりにしないと本気で怒るぞ俺」
美紅
「キイチ先輩…っ」
輝一郎
「さっき言ったよな、西蓮寺。相手の男消すって。……俺もそうすればいいのか?」
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理人
「おい!? 何をする気だ!?」
美紅
「お願い、もう一度チャンスを下さい」
楓
「……ほう。何を言い出すかと思えば」
美紅
「それでも駄目だったら……───何でも言うこと聞きます」
美紅
「もし聞き入れてくれないなら……このナイフで喉を切ります」
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美紅
「……え」
輝一郎
「……え」
美紅
「きゃああああああ!?」
輝一郎
「うわああああああ!?」
眼の前に。
物凄く大きくなったキイチ先輩がいた。
そのキイチ先輩の手の中に───私はいた。
輝一郎
「な…何だこれ!? また俺、変な夢に巻き込まれたのか!? どうしてそんなもんの中にいるんだ!? 何でそんなちっちゃくなって…!!」
輝一郎
「っていうか俺何でこんな変な格好してるんだ!!??」
美紅
「…!?」
キイチ先輩の言葉に、私ははっと自分の全身を眺める。
美紅
「や……やだ、もしかして私……」
美紅
「小さくなってる!!??」
大きかったのはキイチ先輩なんかじゃない。
キイチ先輩は普通のままで、私が、私が小さくなってしまっている───らしい。
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美紅
「は、離して下さい!! 離して!!」
理人
「い・や・だ」
美紅
「お願いします離して!! 離してったら離して!!!」
理人
「じゃぁ逃げない?」
美紅
「は!?」
理人
「これ以上は何もしないから。ただ逃げないでここで俺と話してくれる?」
美紅
「そ…そんな…」
理人
「それともこのリボンをほどいて欲しい?」
美紅
「止めて下さい!!! 分かりました! 逃げませんからとにかくもうこれ以上一切妙な真似しないで下さい!!」
理人
「……ちぇ」
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サーリヤ
「……久し振りだ、お前を見るのは」
サーリヤ
「ミフターフで最後に見た時より美しくなったな」
美紅
「!!??」
サーリヤ
「なるほど。声をかけられた時は気が乗らなかったが…」
サーリヤ
「確かに他人の庭に咲く艶やかな花を手折るのもなかなか楽しいものかも知れない」
美紅
「ちょ…ちょ、ちょっと待って! 何の話!? それよりこの手離して! ここは何処!? サーリヤどうしてそんな格好してるの!?」
サーリヤ
「俺はこの城の主」
美紅
「あ…あるじ?」
サーリヤ
「そう。そして……もしここに迷い込んできた者がいたら好きなように食べてしまってもよいことになっている」
美紅
「………」
美紅
「………食べる?」
サーリヤ
「そうだ」
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